トランポリンをテレビで見ても、「宙返りが速すぎるし、ルールがよく分からん!」って方は多いかもしれませんね。
このブログではトランポリン初心者に向けた記事を書いていますが、今回は「競技トランポリン」の話です。テレビ中継とか見ていて気になる、技の難易度や点数のつけ方の話ですね。
競技トランポリンでは、脱初心者シリーズで紹介しているような、腰落ちとか腹落ちとかは一切ありません。
来たる2020年東京オリンピックに向けて、これから勉強しておくのも良いと思います。
それにしても、体操競技もテレビ放映(というか大会自体)が少ないですよね。比べて、トランポリンはさらにテレビ放映がないと思います。
見られる機会があればぜひ眺めてみましょう。
簡単に言うと、トランポリンの真ん中で、高く、綺麗に、たくさん回って、着地を決めるというところ全部できると高い点数となります。
もくじ
難度点は、トランポリン上で技を10個やって、宙返り(縦回転)とひねり(横回転)の点数を合計して算出します。
難度点以外の項目は、この記事の後半に載せています。
「左右軸での縦回転」・「上下軸での横回転」の回転の話についてはこちらにまとめています。
まずは、とか言いつつ日本代表の外村哲也選手の演技です。
https://twitter.com/tetsuya_tramp/status/1013042622196170752
詳細は追って説明していきますが、まずはDの難度点からです〜。
基本的に90度の縦回転で0.1点なのでタック(抱え込み)で宙返り1回(足で跳んで足で着地・360度)だと0.4。
だけど、「1回まわったよ、おめでとうボーナス」みたいなことで+0.1されて、0.5になる。
捻りなしの2回宙返りで1.0。(0.5 × 2)
捻りなしの3回宙返りで1.5。(0.5 × 3)
でもさらに、姿勢をパイク(屈伸)やレイアウト(伸身)で行うと、宙返り1回で0.6。
捻りなしの2回宙返りで1.2。(0.6 × 2)
捻りなしの3回宙返りで1.8。(0.6 × 3)
捻りは半分ひねる(180度の横回転)と0.1点。
1回ひねる(360度)と0.2点。
つまり、2回ひねりで0.4、3回ひねりで0.6、4回ひねりで0.8と続いていきます。
2回以上の宙返りでは、どこで捻るかで技の名称は変わりますが、合計の回転とひねりが変わらなければ点数は同じです。
(例:「1回転目に1回ひねり、2回転目に1回ひねり」と「1回転目はひねりなし、2回転目に2回ひねり」は同じ点)
ちなみにトランポリンでは、跳躍から次の跳躍を連続で行います。
どんな高度な宙返りをしても、間髪いれずにすぐに次の宙返りを始めなければなりません。
つまり、ちょっとした着地・着床(トランポリンのベッドに足や身体を着いている状態)のミスが、次の技での大事故につながる可能性もあるわけです。
それを避けるために、着床の前にはしっかりとトランポリンを見て、しっかり確認しなければなりません。
具体的には、後方宙返りは捻らない、あるいは1回・2回とキリよく捻っていきます。
対して、前方宙返りは半ひねり・1回半ひねり・2回半ひねりと常に「半ひねり」がついてきます。
前方宙返りを捻らずに行うと、着床の直前は上の方しか見えないのでトランポリンを確認できないんです。
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では、技の名称とおおよその難易度の得点を見ていきましょう。
姿勢により変わりますが、簡単のため数値は目安(タック姿勢での数値)です。
バラニー 前宙の半ひねり 0.6くらい
ルドルフ 前宙の1回半ひねり 0.8くらい
ランディ 前宙の2回半ひねり 1.0くらい
エイディ 前宙の3回半ひねり 1.2くらい
タックバック 抱え込み後宙 0.5
(レイバック 伸身後宙 0.6) ← この辺が一番ややこしいところ
フルツイスト 後宙の1回ひねり 0.7くらい
ダブルツイスト 後宙の2回ひねり 0.9くらい
トリプルツイスト 後宙の3回ひねり 1.1くらい
バラニーアウト 前方2回宙返り半ひねり 1.1くらい
ルディアウト 前方で1回転目ひねりなし、2回転目1回半ひねり 1.3くらい
フルインバラニーアウト 前方で1回目に1回ひねり、2回目に半ひねり 1.3くらい
ランディアウト 前方で1回転目ひねりなし、2回転目2回半ひねり 1.5くらい
フルインルディーアウト 前方で1回転目1回ひねり、2回転目1回半ひねり 1.5くらい
(ルディアウトとフルインバラニーアウトはひねるタイミングが違いますが、合計では1回半ひねりをしているので同じ点数になります。ランディアウトとフルインルディーアウトも同じ)
ダブルバック 後方2回宙返り 1.0くらい
ハーフインハーフアウト 後方で1回転目半ひねり、2回転目半ひねり 1.2くらい
ハーフインルディーアウト 後方で1回転目半ひねり、2回転目1回半ひねり 1.4くらい
フルインフルアウト 後方で1回転目1回ひねり、2回転目1回ひねり 1.6くらい
ダブルインダブルアウト 後方で1回転目2回ひねり、2回転目2回ひねり 2.0くらい
バラニーアウトトリフィス 3回宙返り半ひねり 1.6くらい
ルディーアウトトリフィス 3回宙返り1回半ひねり 1.8くらい
ハーフインバラニーアウトトリフィス 1回転目半ひねり3回宙返り半ひねり 1.7くらい
バラニーアウトクアフィス 4回宙返り半ひねり 2.1くらい
この章を見て分かる通り、2回宙返りのところが最も充実しています。
1回宙返りは簡単すぎて誰もやらない、3・4回宙返りはかなり難しいので技の種類が多くない。
そういうわけで、2回宙返りがいろいろ技をやるのにちょうど良い難しさということでしょうね。
この記事では姿勢についてはほとんど省略していますが、2回宙返りで、「1回転目は屈伸姿勢・2回転目は伸身姿勢」というのもありますので、実は審判は回転とひねりだけではなく姿勢についても採点しています。
以上を踏まえて、やっと点数が出せます。
上の難度点に加えて、綺麗な姿勢(演技点)や安定度合い(移動点)、跳んでいる高さ(跳躍時間点)が評価されます。
上に書いた通り、10個の技の合計点
伸身の姿勢なのに膝が曲がってしまった、など姿勢の綺麗さです。
20点からの減点。(2016年までのルールでは30点からの減点)
トランポリンの真ん中で跳んでいると高いです。
10点からの減点。(2016年までのルールでは、ありませんでした。E得点の一部という感じ)
跳んでいる高さの点数なのですが、評価項目は時間(秒)です。
1秒が1点。
高さや距離など「m(メートル)」の単位を、時間の「秒」で代替して測定するところが興味深いところです。
地球上における重力加速度がほぼほぼ一定ということで、高く跳んでいるということはつまり滞空時間が長いということで機械的に計測しています。
空気抵抗が高い人がいたら有利なのかもしれませんが、まぁ微々たる差でしょうね。
詳しくは日本体操協会の公式ページにあります。一応。
平均1.6点の技を10個 実施することで、16点。
オリンピックとかでは実際、もうちょっと高いくらい。
E得点やH得点は、最高得点が出ることはまずないですね。
2つ合わせて、ざっくり5点前後は減点されるかと思います。
これらを合計するとおよそ55点前後の点数が、テレビなどで見られるトランポリン競技の現実的な数値というところでしょうか。
細かいところは置いておくと、50点という点数を見ると「ちょっと低いな」で、60点を超えてくると「おっ高い得点か!」くらいのイメージかと思います。
男女差(主に高さ・難易度)もありますが、まあ、ざっくりとした目安ですよ!
また、10技を連続するのですが、失敗すると10技が連続で繋げられず、点数がガタ落ちしてしまいます。
結構ルール的に不安定要素がまだあるので、今後のルール改正に期待したいところです。
1度失敗しても、最初からやり直すチャンスとかを与えたい気持ちがありますが、議論を呼びそうな話題ですね。
要するに、トランポリンの真ん中で、高く、綺麗に、たくさん回って、着地を決めるというところ全部できると高い点数となります。
2018年では、8月4日から開催される「ワールドカップ@前橋」が大きな国際大会ですかね。
その他の大会はこちらです。